富山のぶりしゃぶから東京新橋のぶりしゃぶへ。レシピからうんちくまで、ぶりしゃぶのすべてをお届け。
「しゃぶしゃぶ」は第二次大戦後の昭和20年代に、
大阪で始まったといわれています。
しゃぶしゃぶという名称は、昭和30年に大阪の「スエヒロ」によって
商標登録されているそうです。 しかし当時スエヒロの社長はどの店でも
「しゃぶしゃぶ」という語を使えるよう、「肉のしゃぶしゃぶ」と
商標登録したそうですね。
もともとは、中国の鍋料理のシェワンヤンロウ、あるいはモンゴル料理の
サンヤンロウ辺りがオリジナルのようです。どちらも羊肉を屋外で凍らせ
薄くスライスして、煮立った湯で湯振りし、タレで食するものです。
日本のしゃぶしゃぶは羊肉を牛肉にかえたものです。湯を通して
肉の脂を洗い落とすという、よりおいしく食べるための知恵でもあるのです。
さらに、牛肉ではなく 脂の乗った寒ブリでのしゃぶしゃぶが
ぶりしゃぶ
となるのです。
でありますから、ぶりしゃぶ はきわめて最近の料理であり
ルールといったものはございませんでしょう。
薄くスライスした、腹側のブリと野菜が材料。
これを煮え立った昆布の出汁の中で、すすぐようにして火を通し
ポン酢、ポンズ醤油、あるいは胡麻ダレなどをつけて食べる、
というのが一般的でしょう。薬味は刻み葱や紅葉おろし
といったところでしょうか。
ブリの火の通し方ですが、これはお好みでよろしいでしょう。
刺身で食べられるぶりを使うわけですから、火を通し過ぎないほうが
よろしいかと思います。
取材した新橋の和食居酒屋の親爺さんは5.5.5の法則だとか言っていました。
5mm厚に切ったブリを5秒間ゆらゆらすすいで、熱々のところを
5秒間味わうのだそうです。
(酒肴旬菜・おおあみ)
もっとも、アノ親爺さん酔っぱらっていましたから、真偽のほどは
保障できません。安くして、といいましたら、ぶりしゃぶ一切れ555円に、
消費税は5%にしておきましょうって。で2人前で6600円にしてくれました。
5の法則なら5555円にならなかったのかな。なんて。。
大満足いたしましたけれど。
新橋のお店でのその日のぶりしゃぶは、野菜が水菜、春菊、白菜、九条葱、茸類、ブリは2人前で16枚。
それに焼いたお餅が2つ。追加の氷見うどんは別料金でした。
出汁汁はお酒の入った昆布出汁。
薬味は紅葉卸と葱。酢橘が添えられていました。
ぶりしゃぶは要予約とのことです。
ぶりしゃぶ に使うブリのお話です。
養殖のはまちやブリでもいいのかと訊かれますと
”かまいませんが、お味は断然 天然 のものが勝ります”と、
お答えしています。
寒ブリ といわれますように厳寒期の天然ブリはことのほか旨くなるものです。
脂がのった寒ブリ刺身の旨さは格別です。醤油をはじくほどの脂があっても
しつこいという感じは受けません。
これが養殖物となるとそうは行きません。近頃お若い方は照り焼きなどは
寧ろ養殖のもののほうが好みであるようです。
さる雑誌の目隠しテストでは、ぶりの照り焼きは天然モノより養殖のほうが
旨いと答えた数が多いのでした。
エサの臭いが身につきやすいといわれる養殖魚ですが、
ブリの場合はあまりそれを感じません。
しかし ぶりしゃぶ においては天然のものの旨さは格段に違います。
金額を考えるとおいそれと手を出すわけには参りませんが。
ハレの日には天然ぶりで「ぶりしゃぶ」をお愉しみください。
天然の寒ぶりは大型のものほど旨いとされ、10kgほどのものとなりますと
味も価格も跳ね上がります。
時期にもよりますが、築地市場で天然のブリの価格は
養殖ブリの5倍以上でしょう。たぶん。
ぶりしゃぶ も養殖物でとなると、出汁がにごったり、
箸がべとつくことになるかもしれません。
氷水に数十分晒してから使うのも一方かもしれません。
やった事はございませんが。
ぶりしゃぶ の主材料である ぶりに関するお話をもう少し続けましょう。
鰤はアジ科の沿岸性回遊魚で、代表的な出世魚である事はご存知ですね。
その呼び名の移りは
関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
関西ではモジャコ→ワカシ→ツバス→ハマチ→メジロブリ
富山ではコズクラ(ツバイソ)→フクラギ→ハマチ→ガンド→ブリ と
つづくのが一般的のようです。
本来のブリは体長70cm以上で5〜6kg以上のものを言うのですが、
養殖ブリとして出荷されるされるものは40cmぐらいの大きさからです。
つまりハマチと大きさとしては大差ないのです。
それで養殖ブリをハマチと呼ぶようになり、いまやハマチとは養殖モノを
さす事となったのです。この養殖魚は魚体は小さくても、
脂だけはブリ並みにこってり乗っているのです。
ブリは出世魚の代表でありますが、養殖のハマチは
濃厚な飼料でむりやり大きくされた、いわば出世街道にストップが掛った
魚といえなくもないでしょう。
余談ですが、私の行きつけの店で、
天然ハマチでぶりしゃぶ ならぬ「ハマチしゃぶ」を食したことがあります。
ブリのような濃厚さには欠けるものの、かなりの旨さに驚き
その味を堪能しました。
寒ブリ前のメニューとして定番にしたら如何と提案したのですが
ハマチといえば養殖モノと思われるので、と却下されました。
ぶりしゃぶ をご家庭でなさる場合
天然ブリはお手に入りにくいかもしれませんが、
見分け方を知っていただきましょうか。
天然ブリと養殖ハマチはどちらも脂が多いのですが、
よく見ればはまちのほうが白みがかなり強いのです。
養殖ハマチなどは多種の薬剤使用が認められています。
抗生物質をはじめ、抗菌剤や駆虫材などであります。
あるいは水産用ワクチンとかビタミン製剤などです。
殆どが、エサに混ぜられ経口投与されるようです。
これだけのものを投与された養殖魚を食せば、
人間には薬の必要がないのでは、、、などと思ってしまいます。
冗談でありましたが、笑い事では済まされないことでもあります。
このようなものを食べ続けると、人間に対し過剰投与となりはしまいか。
医師から処方された抗生物質の効果がなくなりはしまいかと恐れます。
ぶりしゃぶで始まりました筈なのに、ハマチを例に養殖魚の悪口ばかりを
述べているようですが私達が魚を食べ続けられるのは、養殖魚があればこそ、
というのも事実であります。
水産資源の枯渇、排他的経済水域の漁業規制、地球環境の急変等など
天然魚の漁獲量は減少の一途であります。自ずと養殖魚に頼らざるを得ません。
食の安全がとりだたされている昨今ではありますが、もはや日本の魚食文化は
天然魚だけでは賄いきれません。
難しい問題が山積しています。
増産、安定供給の養殖から品質と安全を追求した養殖へと
転換していかなければならない時期に来ていると、痛感いたします。
ぶりしゃぶのお話があらぬほうへと流れてしまいました。
硬い話はこのくらいにして ぶりしゃぶへと戻しましょう。
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